永井荷風「濹東綺譚」「つゆのあとさき」

永井荷風「濹東綺譚」「つゆのあとさき」を読み終わり、只今「あめりか物語」を読んでいるところですが、少しばかり感想を書きます。要所をネタバレますので未読の方はそのおつもりで。 荷風先生は無条件で受け入れてくれる愛情を求めていたのかなと思いまし…

あいみょん「君はロックを聴かない」

今回は、あいみょん「君はロックを聴かない」について思ったことをちょっとだけ書きます。 あいみょんちゃんは声が好きでアルバムもいくつかipodに入れてます。この曲を聴いた時に「ああ、私のことね」とナチュラルに思いました。ロックバンドについてさんざ…

歌詞について聞いてみたいこと その4

歌詞について聞いてみたいこと。今回は忌野清志郎さんです。問いかけても答えは得られない以上、この世にいてもあの世にいても変わらないので構わず話しかけます。 ①ヘッセを読んでらしたと昔のインタビューで読んだのを覚えていますが、どの作品がお好きな…

宮本浩次「縦横無尽」

宮本浩次さんのアルバム「縦横無尽」の感想です。 「光の世界」と「rain 愛だけを信じて」がとてもとてもよかったです。 悲しい日々に byebye破れし夢が躍動してる賑やかな休日の午後俺は車を走らせてた消せども消えぬ想いととめどない ナウ・アンド・ゼンこ…

歌詞について聞いてみたいこと その3

歌詞について聞いてみたいこと。今回は奥田民生さんです。初めて言及するのでちょっと説明しておくと、同世代のバンドは20代の頃にそこそこ聴き倒したのでユニコーンも聴いていたのと、ユニコーンは少女漫画家さんのファンが多かったので特に印象が強かった…

歌詞について聞いてみたいこと その2

歌詞について聞きたいこと、何回かに分けて作詞者別に書いていきます。ファンからの一方的な問いかけでしかなく答えは永遠に得られないので、なぜその質問をしたいかも加えておきます。 今回は宮本浩次さん。 ①漫画はあまり読まないのでしょうか。少なくとも…

歌詞について聞いてみたいこと その1

今回は、「歌詞についてミュージシャンに聞いてみたいこと」を書き連ねてみます。なぜ作詞家ではなくミュージシャンなのかというと、バンドでもひとりでも音楽をやろうと思った方たちは作詞がしたくて始めたわけではないと思います。でも歌う以上歌詞を書く…

美味しいご飯

夏になると思い出す詩があります。 「飯」 千家元麿 君は知つてゐるか 全力で働いて頭の疲れたあとで飯を食ふ喜びを 赤ん坊が乳を呑む時、涙ぐむやうに 冷たい飯を頬張ると 餘りのうまさに自ら笑ひが頬を崩し 眼に涙が浮ぶのを知つてゐるか うまいものを食ふ…

Pale Blue の感想です

米津玄師さんの「Pale Blue」「ゆめうつつ」「死神」の感想です あなたが見据えた未来にわたしもいたい 鼻先が触れるくらいに あなたを見つめたい 「Pale Blue」のここが好きです。鼻先が触れるくらい、でも触れない距離感と恋心の表面張力がギリギリいっぱ…

浮雲男

こんにちは。今回はちょっと思い出話をしたいと思います。エレカシの話です。 SPICEのインタビュー https://spice.eplus.jp/articles/287583 で宮本さんが「ファンの人って、やっぱり孤独なんだよね。『エレカシって知ってる?』って言っても、知らない人が…

アイラブユーと歌う理由

こんにちは。宮本さんの新曲3つ「shining」「sha・la・la・la」「passion」についての話ですが、ちょっと別の視点から入ります 今回の件でツイッターでは「だから最近『愛してる』とか『アイラブユー』とか歌ってたんだね」という感想を散見し、失恋の傷と…

この恋は本物の恋だから・その2

みなさん、こんにちは。みなさんはお元気ですか?私は全然元気じゃありません。宮本くんに失恋したからです。もう何度目の彼女話で何度目の失恋だって感じですが、どこまで続くこの痛みと思いつつ、書きたいことがあって筆を取りました。 ツイッターの反応が…

モトちゃんと私

「一度きりの大泉の話」萩尾望都著を読みました。この本がどういう内容かという説明は省きます。今回は、少女漫画をあまり知らない方にはいろいろな前提を素っ飛ばした話になります。古いファンとしては今まで沈黙してきたことなので、そのスタンスを変える…

悪人が救われるということ

BUMP OF CHICKENの話です。 以前、「新世界」について書きました。2019年7月15日付https://higekuro.hatenablog.com/entry/2019/07/15/131349 歌詞の中の「なんだよそんな汚れくらい 丸ごと抱きしめるよ」がどうしても気になってずっと考え続けてきました。…

ずっと夢を見て今も見てる

自分の軸を立て直すシリーズ4。 前回に続いて歌詞をどう聞いているかの話です。私のストライクゾーンの方々について語ってみます。 最初は泉谷しげるさんから。「野生のバラッド」 野生のごとく 叫んでられたら このマチにも 用がなくなる ここにいる以上 …

私の頭の中の言葉と音

書きたいことを書いて自分の軸を立て直すシリーズ・その3。 私が歌詞をどう聴いて見ているかについて、とりとめないですが書き連ねていきます。 歌を聞く時は基本はぼんやり聞いています。先入観を持ちたくないので、何も考えずただ聞くだけです。 聞いてい…

槿の国のノラ

二月になりましたね。今回は韓国ドラマについて語ります。 最近見た中で印象に残ったのは「2度目の二十歳」(2015年)です。 チェ・ジウ主演で役名が「ハ・ノラ」。ノラ、つまり、これから「人形の家」をやりますよ、この主人公の自立の話ですよ、と宣言し…

さよならはもう言わない

今年最後の宮本話です。 最近一番テンションが上がったのは、宮本くんがananのインタビューで「昔、何していいかわからないから、ひたすら歩くだけというデートをしたことがあった」とおっしゃっていたこと!! https://ananweb.jp/column/ongakutusin/31637…

女の子は女の子の仮面をつけない

米津さんのアルバム「STRAY SHEEP」の中から「Décolleté」の話です。 歌詞のところどころに荒んだ心情を表す語句が挟み込まれているのが気になっていました。 あなたは間違えた 選んだのは見事ヘタレたハズレくじ 祭りはおしまいさ 今更水を差さないで 荒れ…

いつみきとてか恋しかるらむ2

多美がいとこの涼子と数年振りに再会したのは高1の冬、祖母のお葬式でだった。多美ちゃん、と呼んだその声は涼子がもう子供時代を置いてきたのだと多美の耳に響いた。 出棺の時間になって眠ったような祖母の顔を見るなり、多美は感情とは別のところで涙が流…

ミヤジという名の少女

宮本浩次さんのカバーアルバム「ROMANCE」の感想です。 同世代の私には比較的新しい「First Love」以外は全部歌えます。ベストテンを毎週見ていたので、聖子ちゃんの歌う姿とか久保田早紀さんがピアノを弾くところもよく覚えています。あの頃、宮本少年も同…

aurora ark の感想です

BUMP OF CHICKEN「TOUR 2019 aurora ark TOKYO DOME」DVDを見たのでちょっとだけ感想です。 とっても楽しかった!穏やかで和やかで、広いドームなのにアットホームだなと思った。「話がしたいよ」が断然好きです。語るように歌われるといつの間にか藤原さん…

「即興」について

書きたいことを書いて自分の軸を立て直すシリーズ・その2。 「即興」(インプロビゼーション)にまつわる記憶と考えをつらつら書きます。ほんとに自分のための考えの整理でしかないですが、よろしければおつきあいくださいませ。 即興について初めて意識した…

モンゴメリ「隔離された家」

新潮文庫「アンの友達」に収録されている短編「隔離された家」について語ります。 主人公はミス・マクファーソン。男性嫌いを自称する48歳のオールド・ミスです。 相手役はアレキサンダー・エイブラハム・ベネット。女性嫌いの一人暮らしの男性。年齢は書か…

がんばろうぜと歌うひと

エレカシ「俺たちの明日」について語ります。 2007年の発表ですが、私はいつどこでどうやって聞いたか覚えていなくて、ただじっと最後まで聞いて「こういう歌詞も書くようになったんだな」とある種の感慨を覚えました。 こういう、とは、我を抑えた歌詞。我…

この恋は本物の恋だから

BUMP OF CHICKENの藤原基央さんがご結婚されたとのことでお祝い申し上げます。とサクサク祝辞を述べられるくらいのまだ軽いファンである私は、ネットの噂(?)で「新世界」は奥様のことを歌っていると言われているとかいないとかで、ああ、世の中ってあんま…

ジョバンニは波打ち際でボタンを拾う

さて、米津玄師さんの新アルバム「STRAY SHEEP」の感想です。 一番好きなのは「カナリア」です。ド少女漫画だけどメロウになり過ぎず、愛の希望を感じさせる歌。 いいよ あなたとなら いいよ 二度とこの場所には帰れないとしても あなたとなら いいよ 歩いて…

愛しているよと歌うひと

今回は宮本のおじさんのお話です。 NHKのドラマ「ディア・ペイシェント」の主題歌「P.S. I love you」を宮本さんがお歌いになっていますが、タイトルが発表された時点で「はっ?ピーエスアイラブユー??」と虚をつかれたというか、最近の宮本くんの言葉選び…

「ホットロード」再読

米津さんの新曲「感電」を聞いてます。(ちゃんとホットロードにつながりますので、このまま読み進めてくださいませ) 「肺に睡蓮 遠くのサイレン 響き合う境界線」このフレーズ、韻を踏むといった生易しいものではなく、言葉の持つ音の連想が止まらない人が…

私の愛は

私の愛は 時にひまわりになって 雄弁に語りかける 陽射しを正面に受けて 嬉しいのかせつないのか わからなくなる 太陽は遠く 私は朝と昼を待ち焦がれる 私の愛は 時につゆ草になって 沈黙の闇に沈む 月を見上げては あふれる涙が露となって この身を濡らす …