BUMP OF CHICKENの藤原基央さんがご結婚されたとのことでお祝い申し上げます。とサクサク祝辞を述べられるくらいのまだ軽いファンである私は、ネットの噂(?)で「新世界」は奥様のことを歌っていると言われているとかいないとかで、ああ、世の中ってあんまり歌詞を味わったりしないんだなという今までにもくり返し思ってきた感想をまた持ちました。
「新世界」は「世界はシャボン玉で 運良く消えていないだけ」とサラリと藤原さんのダークサイドが織り込まれていて、明らかに只者じゃない言葉の持ち主だと思うのですが、そういう評価はしないで作品世界と現実を混ぜるってどうかしてますよ。
というようなことを冷静に考えていたのですが、ツイッターでファンの方々の祝福したいのも本心だけれどどうしてもつらいというコメントを読んでいる内に、私の乙女心の琴線がビーンと共鳴してしまって私までうっすら喪失感を覚えそうになったので、心に開きかけた空洞を埋めるために黙々と無表情にエレカシを繰り返し聴いているところです。
ええ、そうです、「藤原さん」を「宮本くん」に置き代えると全然他人事ではなくなってしまうんですよ。でも、BUMPの皆さんは今まで彼女話とかしてこなかったのですね。年齢的にもキャリア上もしてもおかしくないとは思うのですが、ご本人様方のなにがしかの判断がおありなんでしょうね。
宮本くんはというと、デビュー当初からインタビューで普通に彼女話をされてます(エレカシファンの共通認識ですよね・・?)
20代前半の頃、私が一番熱心にインタビューを読んでいた頃でもありますが、「彼女と(デートで)ずっと歩いて『大丈夫ですか?』って聞いた」っておっしゃっていて、「えっ、彼女話とか普通にするんだええええ」と驚いて、「彼女に丁寧語なんだ」と思って、「大丈夫じゃないだろ」って思って、当時は宮本くんに恋に落ちた感はなかったにもかかわらず失恋気分を味わって、でも、それでも一番強く思ったのは「宮本、いいヤツだなあ」という明るい気分でした。ぱっと視界が開けたというか。
彼女から見たらとても嬉しいことだと思うんですよ。インタビューで話さなくてもいいのに、ていうかこれから売っていかないといけないバンドのフロントマンが彼女話とかしたらそれだけで去っていく女性ファンがいるだろとか素人でも気にするのに、当たり前のように彼女話をする宮本くんは本当に良いボーイフレンドだと思った。
この人は自分が大事だと思えるものを迷いなく大事にすることができて、好きだと思ったら好きだと公言できる人なんだなと思った。この率直さはとても印象深かった。
しかしですね、乙女心はそう簡単にはいかなくて、その後も彼女話を見聞きするたびに血の涙を流すわけですよ。いつ頃のだったか彼女に飯作った話とか具体的すぎて卒倒しそうになりましたよ。今年の新春ライブ大阪初日でも若い頃の彼女話をなさったそうで(ツイッターで見た)いやちょっとステージで話すのはさすがにやめて案件というか、宮本こっち来てそこ正座しろ案件というか、ライブなんて全身耳にして聴いてるところに「彼女」という言葉が弾丸のように飛び込んできたら乙女心は即死するって。はあ。その場に居合わせたすべての乙女心にお見舞い申し上げます。いやマジで。
この時に話された彼女との散歩話は20代当時の彼女さんでしょうか。だとすると、若い頃は今カノ話として聞かされ、年を経てからは元カノ話として聞かされ、長年のファンに対してなんという仕打ちでしょう・・・おかげで私の袖は乾く間もありません・・・。
今年に入っての婦人公論のインタビューがネット上でとても評判がよかったので読んでみたら、まった若い頃の彼女話を延々としてらして、でもその内容が、自分は女性から尋常ではないほどの影響を受けるとか、それで浮世絵にも興味を持った、当時自分の話を黙って聞いてくれた彼女に恥じない自分でいたい、というような話をしていらして、出会った女性たちがこの人の精神の一部を作ってきたんだなと思うと、ズキズキする乙女心とは裏腹に、ああ、やっぱり宮本くんいいなと思った。
女性に影響を受けました、って公言する男性は少ないと思うんですよ。しかも、自分がつきあった女性のことを長い年月が経った後でも愛情を込めて語る姿は、若い頃同様に女性の立場から見るととても好ましく映ります。宮本くんがどんな風に女性を愛するのか、ほんの一端に過ぎないと思いますが垣間見ることができて、泣きはらした乙女心もまあいいかと言っております。
人気商売の方が結婚するとファンの心は揺れてしまいますが、藤原さんみたいに初めて話す私事が結婚という大きな結論でも、宮本くんみたいに長年に渡って彼女話を語られても、乙女心が負傷するのはどっちでも同じなのでミュージシャン各位は好きにしたらええ、と思います。
では、ファンはどうしましょうか?この傷だらけの乙女心を抱えながらどうしたものかと考えた時に、私は「恋せよ、傷ついたことがないように」振る舞いたいと思うのです。自分が傷ついたことに足を取られるよりは、涙を拭いて顔を上げて、相手を好きな気持ちを前に出した方が世の中が優しく見えてくるように思います。
今、藤原さんのファンの方々は、自分はただのファンなのにこんなに好きになってバカみたい恥ずかしい、と思っているかもしれないですが、藤原基央という人物を知らなかったら、BUMP OF CHICKENの歌と出会わなかったら、この苦しみも喪失感も、それ以前に4人からもらった最上の喜びも知ることはなかったと思います。この気持ちは本物で、誰のものでもない自分だけの宝物だと思いますよ。それに、藤原さんはその気持ちを笑ったりするような人ではないですよね。きっと大切に受け止めて宇宙ごと抱きしめてくれますよ。
それで、あの、この先いつか宮本ファンの阿鼻叫喚が聞こえてきたら、「藤原さん」を「宮本くん」に読み替えて時間と距離を飛び越えて慰めてくださると有難いです(泣)ええとね、エレカシファンはたぶん「生きる屍こんにちは」ってなりますのでどうか助けてくださいね。よろしくお願いいたします(泣)
ではまた(泣)
「恋せよ、傷ついたことがないように」はアルフレッド・D・スーザという牧師さんの詩の一節です。