2018-01-01から1年間の記事一覧

少女漫画読みが聴く米津玄師

「ナンバーナイン」を最初に聞いた時に「あ、田村由美の『BASARA』だ」と思いました。 歩いていたのは砂漠の中 遠くに見えた東京タワー 君の抱いていたボロいテディベア笑ってみえた どこへ行こうか 海みたいに砂は燃えた かつてはここで人が生きた 先を急い…

恋せよ、傷ついたことがないように 「私の名前はキム・サムスン」

アルフレッド・D・スーザというオーストラリアの牧師さんの詩です。 Happiness is a journey, not a destination. (幸福は旅の過程であり、目的地ではない) Dance, as though no one is watching you (踊れ、誰も見ていないかのように) Love, as though …

米津ワールドの女の子 その2

今回はアイネクライネちゃんです。 あたしあなたに会えて本当に嬉しいのに 当たり前のようにそれらすべてが悲しいんだ 今痛いくらい幸せな思い出が いつか来るお別れを育てて歩く 10代半ばくらいの女の子のイメージで聞きました。「あなた」への思いをずっと…

米津ワールドの女の子 その1

最初はフローライトちゃんです(曲タイトルを擬人化してお送りしております) 君が街を発つ前の日に 僕にくれたお守り それが今も輝いたまま 君は旅に出ていった 今は何処で何をしているかな 心配なんかしていない 君のことだからな この歌い出しのところで…

米津玄師「Flamingo」「TEENAGE RIOT」感想

「TEENAGE RIOT」をオスカル・フランソワのスピリットとして聴きました。 おそらく「その花びらを瓶に詰め込んで火を放て」がイメージの元になっていると思われます。ベルサイユのばらの花びらがバスチーユで燃え上がるのです。オスカルは地獄の奥底にタッチ…

米津玄師「灰色と青」の更なる感想?

BOOTLEG、Bremen、YANKEEと聞き倒したので、MVも見てみようかなと思って、ちょっとだけ見てみました。 米津玄師さんに関してまったく何も知らないままにファンになったので、情報過多の時代にこの白紙状態は得難いかもと思って、敢えてインタビューの類も一…

Anne of Green Gables 小さなアンの喜びは

中1の時に初めて「赤毛のアン」を読んで、いつか英語で読めたらいいなと思っていましたが、長い時間が過ぎて最近ようやく読めるようになりました。 単語はわからないものが多くてまだまだ力不足ですが、構文はなんとか取れるので、頭の中に降ってくる村岡花…

「ハレルヤ」フェアグランド・アトラクション

9月に入って涼しくなって「風は秋色」だなあ、すぐ冬も来るよなあ、と思ったところで、フェアグランド・アトラクションの「ハレルヤ」を思い出しました。 昔々、初めてこの曲を聴いたとき、歌詞がワビサビだと思ったものです。 The lights on the westway go…

東京医科大の入試

東京医科大の入試をめぐる事件は、人の努力を愚弄するにも程がある。 医者になりたいと思った子供が努力して努力して努力して、それでもすんなりと合格できるわけではない、それが医学部入試だ。子供の純粋な努力に対して公正な結果を出すのは大人の当然の義…

「エモい」

「エモい」という言葉を聞いて思い出したのが 八木重吉「素朴な琴」 この明るさのなかへ ひとつの素朴な琴をおけば 秋の美くしさに耐えかね 琴はしずかに鳴りいだすだろう 「耐えかね」がエモのキモかなあ、と思うのですが どうなんだろ?? いまひとつ使い…

君死にたまふことなかれ ヌナの願い

2017年12月、SHINeeのジョンヒョンが自死する前、お姉さんにそれが察せられるメッセージを送ったそうだ。お姉さんはすぐ警察に通報する。でも、間に合わなかった。 2018年1月、女優ハ・ジウォンの弟で俳優のチョン・テスも自ら亡くなった。 ふたりとも鬱病…

「BOOTLEG」感想

米津作品で最初に聞いたのは「lemon」です。「わたしのことなどどうか忘れてください」のくだりで浮かんだのは、日吉ミミ、金井克子、藤圭子、夏木マリという名でした。私が子供の頃にテレビで見ていた情念を歌う大人の女性たち。不幸な匂いのする女性の一人…

「刺さる」感動

胸に刺さる、という表現をここ数年目にする。若い人たちの間で感動したという意味で使われていることは文脈からわかる。が、「あの言葉が胸に刺さった」「この映画は胸に刺さった」という言い回しを目にすると、刺されて負傷しているにもかかわらず愉悦の表…

「灰色と青(米津玄師+菅田将暉)」 平成の公達が歌うもの

伊勢物語の「筒井筒」をご存知でしょうか。 井戸のそばで遊んでいた幼なじみの男の子と女の子が、大人になってお互い想い合って結婚する、という話の序盤で歌のやりとりをします。 筒井筒 井筒にかけしまろがたけ 過ぎにけらしな妹見ざる間に (一緒に遊んだ…

「おっさんずラブ」感想 続編に思うことなど

続編はなくてもいいと思う。今作るとなると、肩書と権力はあるがセンスがない大人が口を出して方向性を曲げてしまいそうな気がする。せっかくの傑作にケチをつけることもなかろう。 ひとつだけ、「天空不動産を舞台にしたシリーズ」はアリかなと思う。別の営…

「おっさんずラブ」感想 韓ドラファンの視点から

私はここ10年くらい、日本のドラマよりも韓国ドラマの方をよく見ている。 その中で培われた視点で「おっさんずラブ」を見ると、アジア近隣でもヒットするのはよくわかる。 まず、春田はおばあさんを2回助ける。蝶子さんを案内する途中と牧との待ち合わせに…

「おっさんずラブ」感想 ガールズ編

ちずは可愛いだけではなかった。性格描写でさりげなくいろんなことを伝えていて、「お得意先にセクハラされたので怒ったら、相手に謝れと社内で言われたので納得いかなくて辞めた」「(春田に恋人の振りをしてくれと言われて)人前でいちゃつくような女は嫌…

「おっさんずラブ」最終回を迎えて(ネタバレます)

大満足の最終回でした。このドラマを世に送り出してくれたすべての方に感謝したいです。 第1回から見直してみると、2回目くらいまでは、単に気のいい不動産屋さんのお兄ちゃんの話と言えなくもない。「人と街が好きじゃないと営業はできない」など春田がち…

「おっさんずラブ」最終回前にちょっと感想

一体、自分は何を見ているのだろうか。なぜこんなにも魂を奪われているのか。まさか、土曜の深夜に気楽に見始めたドラマにここまで入れ込む日がくるとは思っていなかった。毎日ツイッターを検索しているが、#おっさんずラブのタグでつぶやきが止まることが…