今回は、あいみょん「君はロックを聴かない」について思ったことをちょっとだけ書きます。
あいみょんちゃんは声が好きでアルバムもいくつかipodに入れてます。この曲を聴いた時に「ああ、私のことね」とナチュラルに思いました。ロックバンドについてさんざん語っていますが、私の自意識としてはロックを聴いているつもりはないんですよ。10代の頃に音楽少女ではなかったからかもしれません。
君はロックなんか聴かないと思いながら
少しでも僕に近づいてほしくて
ロックなんか聴かないと思うけれども
僕はこんな歌であんな歌で
恋を乗り越えてきた
私は20代の頃、同世代のロックミュージシャンをこんな風に感じていたのかもしれない、と思いました。僕らの歌を聞いてくれ、という声無き声を受け止めようとしていたのかもしれない。
エレカシ、ユニコーン、ジュンスカ、ピーズ、ニューエスト・モデル、岡村靖幸くんもデビュー時にはアルバムを聴き倒しましたよ。曲を聴く前に歌詞カードを読むような邪道な人間でしたが、聴いていてとても楽しかった。
ロックを聴かないというのなら私は一体なにを聴いていたのかというと、「詩情」だと思います。歌詞に声に音に詩情を感じて求めていたのだと思う。たぶん。当時はそこまで詰めて考えていなかったので後付けと言われても仕方ないですが。
そのことを、あいみょんちゃんの歌に自覚させられたなーと思っているのです。ロックを歌う男の子が違う世界の女の子にコミュニケーションを求めているこの歌は、私にはとてもリアルに聞こえました。「フツフツと鳴り出す青春の音」というフレーズもいいですね。手探りでもがいている人生の一時期が過去となった人にも現在進行形の人にも心当たる表現だと思います。
あいみょんちゃんの歌をもうひとつ、「生きていたんだよな」。
日本語のラップは(この歌をラップと呼ぶかどうかはともかく)やはりこの「語り口調」が洗練されて聞こえると思いました。立て板に水的に一気呵成に歌い下ろすスタイル。この歌は若い女の子の自死を歌っていますが、ショッキングな内容が一瞬耳目を引くかもしれないけれど、それよりも歌い方に引力があるんだと思いました。
最後にひとつ告白しますと、あいみょんちゃんは私よりも「お姉さん」に感じています。カッコいいお姉さんが素敵な歌をうたってるような感じ。遥か年下の娘のようなお姉さん。これから年を重ねてどういう歌をうたっていくのか楽しみです。
では、また。