宮本浩次さんのバースディコンサートが6月12日に開催されますが、仕事でエントリーすらできなくて淋しいので歌詞の考察をちょびっと書いて気を紛らわせます。
宮本さんの歌詞は上下運動です。天と地と言ってもいいでしょう。
「明日への記憶」から
「鳥が影落とし目指してく 雲が生まれくるあの場所まで」
一見、鳥が飛んでいる空の話で地には触れていないように思えますが、「鳥が影落とし」影を落とす大地を暗示しているのですね。「鳥」で空を仰ぎ「影落とす」で地に視線が誘導され、「雲が生まれくるあの場所」で再び空に映像が移動する。
これを2019年野音で曇り空を見ながら聴いて、歌詞が描く景色が自分の中に入り込んでくるような気がしました。
次は「to you」
「鳥が空舞う青空の下
アスファルトの上を歩いてく俺がいる」
「俺の明日は何処だろう?
足元に咲く小さな花か?それとも・・・」
「俺の明日は何処だろう?
ああ鳥が舞うあの大空か?それとも・・・」
足元の花を見つめたり空の鳥を仰いだり、忙しい宮本さん・・・。「昇れる太陽」(2009年)収録ですが、「前を見ても振り返っても 行き場探しの堂々巡り」「右を見ても左見ても 幸せ探しの堂々巡り」というフレーズもあるので前後左右もぐるんぐるん見ているんですね。何か迷いの時期だったのでしょうか。
地に落ちたままの歌もあります。「こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい」(タイトルです)
「もうボクはこの部屋ごと地の底に沈みそう
心も体も溶けてしまって
キミに会いたい」
キミに会いたいと思いつつ、起き上がれないままの歌。
「RAINBOW」も落ちていきますね。
「暮れゆく街のざわめきの中に立って
落ちてゆくすげえスピードで でかい渦巻の中
まるで底なしさ 面目ないね」
「ふと見上げれば変わらぬ輝き
月の光 俺を照らしている
ああ 心照らす」
こちらは底なしに落ちても月を見上げる気持ちがちょっと残っている。月の光は心も照らすという発想が美しいなと思います。
最新の「yes.I.do」と「It‘s only lonely crazy days」ではどうなるかと言うと
「空飛ぶあの鳥のように 自由にはばたけ」(yes.I.do)
「俺の愛する麗しい空よ」
「襟を正して sunrise」
「飛ぶぜ brother 明日に向かって」(It‘s only lonely crazy days)
空、鳥、太陽、飛翔のモチーフのみで、落下する気配はありません。今は迷いがないのか、あっても振り切る活力があるのか、いずれにしても好調なんだなと思います。
かようにエレファントカシマシでは浮き沈みの激しい宮本さんですが、バースディコンサートはソロなのでひたすら愛してる愛してると歌われるのではないかと思います。エレカシとソロの違いは特に気にしていなかったのですが、ソロの歌詞は隙あらば愛愛歌ってきますよね。わかったわかった私のことを愛しているのはわかったからちょっと落ち着いて、とソロアルバムを聴くと思います。
はー。バースディコンサートに行って私も愛してるって伝えたい。けど、宮本好き好きで食ってるわけじゃないのでココロで応援しつつ粛々と働いてきます。
では、また。612は頑張ってね。