コーネリアス「Mellow Waves」

楽家についてはその人の音楽で語るのが本道だろうと思います。コーネリアス小山田圭吾さんのアルバム「Mellow Waves」の感想を書きます。

「The Rain Song」がとても好きです。

 

 

ぽつぽつぽつ

雨が 歌う

ぽつぽつぽつぽつぽつ

メロディー 響く

 

段々窓の外 季節が変わる

 

ぽつぽつぽつぽつぽつぽつ

どこか 心運び出す

 

ぽつぽつぽつ

雨が 描く

ぽつぽつぽつぽつぽつ

模様 形

 

点々水たまり 浮かんでは消える

 

ぽつぽつぽつぽつぽつぽつ

どこか 心連れ出す

 

ぽつぽつぽつぽつぽつぽつ

雨が どこか連れて行く

 

あー

 

 

以上、歌詞全文ですが、これを一筋のメロディに沿って歌っているのではなく、音と言葉を一緒に空間に配置しています。「ぽつ」「ぽつ」「ぽつ」と区切って歌うことで雨だれのイメージになり、言葉の音と音楽の音が混ざったり重なったりしながら穏やかで踊るようなリズムが生まれている。ああ、言葉も音だと知っている人だ、言葉を音符と一緒に鳴らしているのだと思いました。

言葉少なだけど、音はとてもおしゃべりですね。ユーモアがあって美しい音。これが小山田さんなんだなと思いました。

フリッパーズギターの頃から存在は知っていましたが、渋谷系と呼ばれる音楽はなんかちょっと薄暗い感じがして、すべてが間接照明の元で行われているというか、自分の好みとは違うんじゃないかなと思ってました。

 

この夏の小山田さんの件、元になった2誌のインタビューは結果的に広い範疇に暴力を振るったのだと思います。小山田さんに近しい方々、ファンの方々、いじめの被害者、障害を持った方、及びそれぞれの身内、このいずれにも属さない私ですら読んでいて心が苦しくなりました。特にいじめ被害者と障害のある方の経験や考えをネットで読んでいるのがつらく、そこには恐怖と絶望しかなかったと思います。

事実と異なる部分については小山田さんご自身が9月17日に文章を発表してらっしゃいますが、私はこの文章に真摯さを感じました。自分の言葉で語ることは更なる炎上を招きかねない恐れもあったと思うのですが、それでも言葉をつづる勇気にお人柄を見たような気がします。

私が思ったのは、小山田さんの子供時代の友人関係など誰にも関係ないということです。インタビューで本人が話したことを理由にしてアカの他人が口を出すことではない。小山田さんの反省は小山田さんだけがすればいいことだと思います。

小山田さんには休養の後に音楽活動を再開してほしいです。音楽家にはそれ以外にすることもできることもやるべきこともないと思います。また美しい音楽を聴かせてください。まさか小山田圭吾の音楽を聴く日が来ようとは思ってもいませんでしたが、ファンがひとり増えましたよ。私は小山田さんの音楽が聴きたいです。待っておりますね。

 

私は子供の頃、いじめやその萌芽のようなものを目にすると「なんでそんなことしてるの⁉」と口に出してはばからないような傍若無人な子供でした。が、暴力を伴うようなものは見たことがないので自分に本当にどこまで胆力があるかはわかりませんし過信もしていません。でも、今回の件は小山田さんに対する誹謗中傷が度を超えていたと言いたいです。つまり、私は怒っているのですが、怒りを露わにすると人は聞く耳を持ってくれないと考えるので「曲を聴いて感想を書く」という王道を選びました。私など何の力もない一市民に過ぎませんが、とりあえず栗拾いとしっぽを踏むのはそう苦手ではないので意見表明として書いておきます。

 

 

では、また。