エレファントカシマシ「Easy Go」

「Easy Go」を、確かテレビでだったと思いますが、最初に耳にした時、「つわものどもの夢のあと 21世紀のこの荒野に」エレカシは生き残ったね、と思いました。デビュー当時はバンドブームでいろんな才能が現れて、群雄割拠の時代だったと思う。あれから30年の時間が過ぎる中で、たくさんのバンドが解散して、亡くなった方々もいて、その中でエレカシが21世紀の荒野に4人で立って生きていることは奇跡のようだとぼんやり思っていました。

前回の文章を書いた後、久々にエレカシを聴き倒してみるかと思って、アルバム「Wake Up」をぐるぐる聴いています。「Easy Go」は特に好きです。「ファイティングマン」「ガストロンジャー」と、この「Easy Go」が私の体内リズムにしっくりくる三大大好きな曲です。

 

待っててくれbaby おまえのハートに

この世界中のあらゆる輝き届けるぜ

 

ここのところで、もう十分キラキラしたものをもらったと思うけどな、もうほんとに幸せにしてもらった気分なんだけどな、と、ほわほわ聴いていたのですが、ちょっと待て。

何この「男の人になんか優しいこと言ってもらった」感は!!??

エレカシの歌を聴いてこんなこと思ったことないですよ??なんで私こんな無防備になってるの???

そもそも宮本くんて性別ないじゃないですか。あえて言うなら「性別:可愛い」が一番近いかなと思います。

エレカシの歌はガチの男歌で、女の子メンタルはゼロ。皆無。女性に対しても「おまえ」呼びで、まさに昭和の男の歌。そして、本来なら、そんな男性性の強い歌詞が持っているはずの威圧感と強権性も皆無です。それはひとえに宮本くん本人に女子成分が高いからですよ。あのぷっくらほっぺにくるくるした瞳、加えてとどめの美脚。インスタで石森くんとのツーショでかもしだす彼女感。ファンのブログやツイッターでは「天使」「妖精」「お姫様」とまで言われる始末。若い頃から雄み無しエロ味無しで女子受けしようなんて考えてもなさそうな透明感。女子受け考えてたらあんな変なポーズで歌ったりしませんよね。

私はずっと同性感覚で見てきて、女同士、男同士として共鳴している感じなんですよ。なのに、なぜ今男の人だと思ったのかしら。

・・・たぶん、私、仕事でへとへと&くたくたで、ここ数ヶ月は救心と胃薬交互に飲んで乗り切ってる感じなので、気持ちが弱っているのだと思います。ちょっとやさしげな文言に触れてほろっとなっただけだと思います。今さら恋に落ちたりなんて、しないと思う(意地っ張り)。

 

 

 

ま、それはそれとして、「Easy Go」では、宮本くんは泣いているのですね。最初気がつかなかった。「涙に滲んだ過去と未来」って歌っているということは、「今」の宮本くんが泣いているから、過去と未来が涙で滲んで見えてるんですよね。

この「宮本の涙」もちょっと不思議なんですけど、歌詞の中ではよく泣いていて、ほんとにただ泣いてるだけなんですよね。泣きを売りにしている感じはまったくなく、涙を武器にして女性に共依存を求める腐敗した甘さもない。なんのアピールもなくて、つーっと涙が流れるままにしてる感じ。静かで慎ましやかですよね。なんか、こう、「泣きたいならオレの背中の陰で泣け」って声かけたくなりますよ。私の中の野郎成分が男宮本に感応しているのです。

 

 

 

最後に、この歌の中で一番好きなのは

 

 

剛者(つわもの)どもの夢のあと 21世紀のこの荒野に

愛と喜びの花を咲かせるぜ 神様俺は今人生のどのあたり

 

 

「今人生のどのあたり」、つまり、自分はあとどれくらい生きるのだろうと「終わり」を考える年になったんだな、と深く共感しました。同世代の考えることって同じだなと思います。

「Easy Go」は全体的に明るくて弾けてて、メロディアスでせつなくて、エレカシの強さがストレートに伝わる曲だと思います。人生の終わりを感じながらも、愛と喜びの花を咲かせよう、ファンにこの世界中のあらゆる輝きを届けようと、相手のことを考える4人は、かっこいい大人の男だなと思います。

 

 

ちょっとだけ私の話で恐縮ですが、私がこのブログを書き始めたのも、自分の「終わり」を見据えて、今自分が思っていることを書き残しておこうと思ったからです。

私は会社人生にはとても恵まれて、信頼できる上司に出会って、責任も持たせてもらって、仕事は毎日楽しいです。無論、楽しくなるように努力はしましたよ。タダで仕事が楽しくなることなどないですから。

でも、私が本を読んだり、音楽を聴いたりして感じたことは、どこにも誰にも伝える場所がないなと思っていました。まあ、それでもいいかな、このまま灰になっても、くらいの気持ちでいたのですが、この球を投げてみたらどうなるかしら、とも思ったのです。せっかくだから、直球で、豪速球を投げようとも思いました。人生いつ終わっても後悔のないように。広いネット空間に、きっとひとりかふたりくらいは受け止めてくれる人がいるだろうと信じて。

 

 

 

 それにしても、私のエレカシ愛も30年物かあ。ほんとにいつの間にこんなに時間が過ぎたのかしらと思います。20代の頃と変わらず好きですよ。途中、飽きたり嫌いになったりするのかなと思ってましたが、そんなことはまったくなかったです。大好きな大好きな4人です。

3月18日は石森くんのお誕生日ですね。おめでとうございます。よい一年になりますように。