ナイチンゲール「看護覚え書」

今回はフローレンス・ナイチンゲールについて少しお話します。私は30代前半頃に伝記を読んで以来、ガチ&マジでナイチンゲールリスペクト人間なんです。

フローの考えで好きなところを著作「看護覚え書」から引用しますと

 

「責任者たちは往々にして、『自分がいなくなると皆が困る』ことに、つまり自分以外には仕事の予定や手順や帳簿や会計などがわかるひとも扱えるひともいないことに誇りを覚えたりするらしい。私に言わせれば、仕事の手順や備品や戸棚や帳簿や会計なども誰もが理解し扱いこなせるように──すなわち、自分が病気で休んだときなどにも、すべてを他人に譲り渡して、それですべてが平常どおりに行われ、自分がいなくて困るようなことが絶対にないように──方式を整えまた整理しておくことにこそ、誇りを覚えるべきである」

 

現代にも通じる考えであることに加えて、容赦のない物言いがとても好きです。頭がキレる人の話は読んでいてスカッとします。日本語訳も素晴らしいのだと思います。

もうひとつ、

 

「近頃は召使いの質が落ちてきたとよくいわれるが、私に言わせれば、近頃は女主人の質が落ちてきたのである。(中略)女主人たちは、指示の出し方も知らなければ、召使いたちに指示への従い方──すなわち、知恵を働かせて指示に従うこと、これがすべて修練という言葉の真の意味なのであるが──それを教える方法も知らない」

 

社畜」と自分のことを言う人々に読み砕いて飲み込んでほしい文章です。人の下で働く時期に自分を意志のない畜生と思うか、知恵を働かせて仕事人として力を蓄えるかで将来が変わると思います。指示をする立場の人は、自分を社畜などと言っている若造がいたらしっかり指導しろと言っているようにも聞こえます。

 

なんで今ナイチンゲールについて書くかというと、コロナになってからずっと、フローが今生きていたら英国の、世界の死者数は変わっただろうかと考えていたからです。

例えば換気については、部屋を閉め切るのではなく窓の上部を常に開けろと言います。

 

「窓が適切に設けられており、かつ暖炉に燃料が適切に供給されていさえすれば、ベッドの患者に常に新鮮な空気を確保することは比較的容易である」

「寝室や病室の換気とは、たんに窓を真上まで上げるとか、真下まで下げるとかいうことを意味するものではない。そんなことをすれば、患者を何回も温度の急激な変化という危険にさらすことになる。換気とは、要するに(部屋の)空気を清浄に保つこと、それだけを意味するのである」

 

コロナ対策でも換気は提唱されてきましたが、フローの言っていることと変わらないように思うんですよ。フローが21世紀の知識と技術をもってコロナ対策をしたら・・となぜか亡き偉人に夢を見てしまいます。コロナが3年目に入って疲れているせいでしょうか。

 

「あなたは、自分がした何か良い仕事について『女性にしては、おみごとです』などと言われることを望んでいないであろうし、また自分の仕事について『よくやったけれども、やるべきではなかった。なぜなら、それは女性に適(ふさ)わしい仕事ではないから』などと言われるからといって、良い仕事をすることにためらいを覚えたりすることもないであろう。そうではなく、あなたは『女性に適わしく』あろうとなかろうと、とにかく良い仕事をしたいと願っているのである」

 

括弧内はすべて「看護覚え書」からの引用ですが、ところどころに力強い言葉が刻まれていて、仕事で疲れて弱っている時の滋養になります。フローの偉業に比べると私にできる仕事は砂粒程度のものですが、心意気だけでも近づきたいといつも思っています。

 

最近ブログに連投しているのは連休でちょっと力が余っているからです。好きなことを書き散らかして気も晴れたのでまた明日から仕事に邁進しようと思います。

 

では、また。