愛には愛が返ってくる

宮本浩次さんのソロアルバム「宮本、独歩」の感想なんですが、ちょっと感想になるか自信がありません。

というのも、先行配信されなかった「Fight!Fight!Fight!」と「旅に出ようぜbaby」の2曲を聴いて放心しているからなんですが・・・。

 

「Fight!Fight!Fight!」では「I love you どんな時も愛してるぜ」とお歌いになっていて、私の心象としましては、聴いた瞬間ズザザーッとかなり後ずさって一度態勢を立て直した上でおそるおそる近づいて、宮本様のでこに手を当てて「うーん、熱はないか。じゃあ、一体どうして・・・」と困惑しているというのが正直なところです。

宮本浩次が「I love you」??「愛してるぜ」???

若い頃の歌詞は内省に次ぐ内省で、文学的内省は表現者の魂が通る道だとはいえ、「生きる屍 こんにちは」とか歌ってらっしゃった方が、タイトルに「珍奇男」とかつける方が、「どんな時も愛してるぜ」???

いや、まあ、その・・・私も愛してますよ。(愛には愛を返す)(そういうことじゃない)

 

「旅に出ようぜbaby」は、「ヴァネッサ・パラディみたい」という感想をツイッターで多く見かけて、私も「ああ、ほんとだ、ヴァネッサ・パラディだ」と思い、アルバム「ビーマイベイビー」の中の「Sunday Mondays」が好きだったなーと思い出したりしましたけどいやそうじゃなく、「宮本浩次の曲がヴァネッサ・パラディ風」というものすごい字面が成立するところが「解剖台の上のミシンと蝙蝠傘」くらいの衝撃です。

 

 

いつか終わりが来るその日まで

僕ら 陽気な冒険者でいよう

きみを誘って行こう

僕らの新しい旅に出ようぜbaby

 

 

「baby」という言葉は宮本さんの歌詞にはよく登場しますが、この歌で初めて「自分がbabyと呼ばれている」気分になりました。今までは合いの手くらいにしか思ってなかったので(ひどい)、この点でも更に放心しています。

「旅に出ようぜbaby」は、一語一語の持つ意味が言葉の流れの中で調和していて、美しい一筋の光る糸が最初の一文字から最後までをゆるやかにつないでいるような気がします。

思わず顔が上がるような高揚感の中にごくわずかな淋しさが見え隠れして、もう若くもなく諦めたこともたくさんあるけれど、それでも、僕らの新しい旅に出ようよ、と手を差しのべてくれているような歌。

 

つまり、この2曲は聞き手に「自分に向かって愛していると言ってくれている」というポピュラーソングとして「正しい誤解」を与えているのだと思います。

「頑張ろう」系の歌は今までもあったけれど、「愛してるよ」系はなかったのではないでしょうか。宮本くんから愛してるよと言われた(気分になった)ら、どれだけ私が放心するかお察しいただけるのではないかと思います。

私が猫だったら宮本くんの膝から降りない。立ち上がろうものなら「ニャ!(だめ!)ニャニャ!!(ずっと抱っこしてて!!)」と抗議して、額を宮本くんのおなかにごりごりこすりつけている状態です。

 

 

それから「夜明けのうた」。これは長く長く歌い継がれると思います。美しくて祈りに近い歌。

ちょっと話がずれるようで、また戻りますが、私が子供の頃、「さすらいの太陽」というアニメがありました。歌手を目指す女の子が主人公で、産院でのすり替え、貧富の差、これでもかと降りかかる苦難、というベタな設定ですが、私は終わりの歌の「心のうた」が好きでずっと覚えていました。

 

 

うたは私の友達だから

苦しい時も私の味方

たった一人で淋しいけれど

心のうたをみんなのうた

みんなのうたが町いっぱいに

いつか広がる明日を信じよう

 

 

宮本くんの「夜明けのうた」は、この女の子が年を重ねて幸せになって歌っているような感じがしました。

 

 

夢見る人 わたしはそうdreamer 明日の旅人さ

月の夜も 強い日差しの日も 歩みを止めない

忘られぬ思い出も 空のこの青さも

ぜんぶぜんぶこの腕に抱きしめたい

わたしの好きなこの世界

 

時に悲しみに打ちひしがれて

ふと忘れたふりしてた涙が 頬をつたうよ

でも町に風が吹き 明日がわたしを誘いに来る

ああ ようこそこの町へ わたしの住む町へ

 

ああ 夜明けはやってくる 悲しみの向こうに

ああ わたしも出掛けよう わたしの好きな町へ

会いにゆこう わたしの好きな人に

 

 

 

歩みを止めなかった人々がこの静かな明るさにたどり着くのかなと思って聴いています。更に変な感想を言うと、この世を旅立つ時に「夜明けのうた」を聴いていたいなと思った。この歌でなくとも宮本くんの声を聴きながら旅立てたらいいな、とまで思いました。

 

 

 

 

 

 

 

私の宮本愛、ぜんっぜんテンションが下がらないですよね。自分で書いててちょっと引きます。宮本くんが最高を更新してくれるから下がる暇がないのだと思います。

結局、宮本好き好きとしか言ってない話になりましたが、ま、いっか。

 

 

 

では、また。