7月7日にエレカシの日比谷野外音楽堂ライブを外で聴きまして、20数年振り(!)に宮本くんの生の声を聴いた喜びもさることながら、セットリストの前半が「恋するエレファントカシマシ」でしたね、というところから今回はお話しします。
特に、5番目の「面影」から「こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい」「翳りゆく部屋」「リッスントゥザミュージック」「彼女は買い物の帰り道」「笑顔の未来へ」「ハナウタ~遠い昔からの物語」、ここまで、私の目は完全にハートになっていたと思います。
これらは、彼と彼女の歌か、愛を求める歌で、少女漫画の世界ですよ。
「息がつまる位あなたを信じてた」(面影)
「君が僕の事見つめる目には ひとつの嘘さえも決してなかったのに」(リッスントゥーザミュージック)
「愛しい人涙落ちて 目の前が暗くなって 鮮やかな光もさえぎる様に 悲しい目で何を見るの?」(笑顔の未来へ)
「こうして365日の音を集めて 『これはオレからの贈り物だよ』っていえたら 一瞬でつながるこのときめきの思いは ふたりの時行き交うメッセージ」(ハナウタ)
ね、宮本くんにこう立て続けに歌われたらそら目もハートになるって。この日は雨でほんとによかった。宮本くんに恋する瞳を傘で隠せたから。
私は通常、エレカシの歌は自分の中の男気で聴くことが多いのですが、今回は少女漫画的要素、胸に情感が広がって目線が徐々に上がっていくような憧れとときめきを感じました。優しい男の人になんか優しいことを言ってもらってる感じ。「優しい」がかぶってますし、幼い表現ですけど、これが私の率直な気持ちです。こんな表情も見せてくれる人たちなんだな、と魅力の振り幅に翻弄されますよ。
そもそも、宮本くんの歌詞の中の男性は、女性に対する目線がとても優しいです。
アルバム「STARTING OVER」に「冬の朝」という曲があります。短いので全部書きます。
冬の朝 君と二人で駅へ行く
かじかんだ手のやり場なくポケットに
吐く息も白く 空はやけに青く
神社を横切り近道を足早に行く人
ふざけて君は駆け出して俺を追い越して笑ってる
あの坂を下りたら駅の改札口で
乾いた空気 今日一日が始まる
好きだともなんとも言わない。情景描写の方が多い。ふざけて駆け出した彼女を見ているだけ。でも、きっとこの男性の目には、愛しい人を思う気持ちが宿っていると思う。
もうひとつ、アルバム「MASTERPIECE」の中の「七色の虹の橋」の一節を。
ポケットにゃあいつも文庫本
胸には偉大な未来抱いて
ああいつも待ち合わせはなぜか古本屋
本の背文字目で追いながら
未来を透視してた俺と
インテリアの雑誌かなんか
退屈そうにながめてた君がいた場所
きっと世界で一番幸せだったふたり
空の下それぞれの思い出の中
本が好きな男性が彼女と古本屋で待ち合わせして、退屈そうな顔ももう隠さない彼女とのつきあいの長さと、うっすらと感じられる倦怠。この彼女は過去なのかなと思われるのですが、最後にこう歌います。
思い出はセピア色なんかじゃあない
明日へ向かう七色の虹の橋
この男性は彼女を本当に好きだった。愛していた。もう苦しいとかつらいとか気持ちが波打つことはなくなったけど、かつて誰かを心から愛した記憶は今の自分を明日につなげてくれる。恋の思い出を大切に抱きしめるような歌だと思います。
宮本くんはテレビでは落ち着きのない永遠の中3男子だったりしますけど、それはそれで好きなんですけど、私の目にはこういう風に見えているのです、と言いたくて書きました。
今回の野音は、声を聴くだけで、お顔を見ることはできなかったものの、雨の七夕だったからしょうがないか、と乙女ゴコロは十分満足&納得いたしました。とてもとても楽しかったです。
では、また。